Nature ハイライト

化石:新属新種恐竜の登場

Nature 431, 7009

この論文を報ずるニュースを聞いてもティラノサウルス・レックスに羽毛があったという意味にはとらないでいただきたい。しかし、ともかくもT.レックスの最も古い親戚は、毛のような「原羽毛」を身にまとっていたことを今週号でX Xuたちが報告している。今回の発見で、肉食恐竜に羽毛のような外被構造が広く備わっていたらしいという説の下地が固まったことになりそうだ。 今回報告されたのは原始的なティラノサウルス上科恐竜の化石で、この仲間としては知られる最古のものである。見つかった場所は中国遼寧省西部の白亜紀前期の義県層という地層で、この発掘場所からは原羽毛だけでなく普通の羽毛を備えた恐竜または鳥類の化石が多数見つかっている。化石が出た堆積層の年代は1億3,900万〜1億2,800万年前だった。このティラノサウルス上科恐竜は比較的小型(体長およそ1.5 m)で、骨格の構造は原始的だが、頭骨は従兄弟筋にあたる白亜紀後期(7,000万〜6,500万年前)のあの巨大なT.レックスと同じように、横からみると鼻先が特徴的な四角い形をしている。今回見つかった化石標本のうち、繊維状の原羽毛をもつものは1体だけだった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度