Nature ハイライト

がん:METの抗腫瘍作用

Nature 522, 7556

好中球が腫瘍形成に関わっているのかどうか、また関わっているならば、抑制的に働くのか、促進的に働くのかについては議論が分かれている。今回、M Mazzoneたちは複数のがんマウスモデルを用いて、受容体分子METの好中球での発現が、好中球の腫瘍増殖制限能に必要であることを明らかにした。好中球でのMETの発現は炎症性シグナルにより引き起こされ、このシグナルは腫瘍からも生じる。MET活性は、好中球が活性化された内皮を横断して腫瘍に到達し、がん細胞を殺傷するのに必要とされる。METは、METを発現するがんで治療標的となることが明らかにされているが、この知見からすると、METの有益な作用の方も、好中球の抗腫瘍性応答の阻害によって部分的に打ち消されると考えられ、実際にそうなることを、著者たちはマウスモデルで実証している。今回の結果は、抗MET薬を用いる治療方針決定に関連しているので、好中球応答が見られる腫瘍での治療効果を探る際に役に立つかもしれない。

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