Nature ハイライト

神経:聴覚系の神経細胞が連絡しあう方法

Nature 434, 7035

聴覚経路の神経細胞は、環境から殺到する大量の音入力をうまく処理する必要がある。また、シグナルを連続して迅速に送るのは、なかなか大変な作業だ。ある細胞から次の細胞へと情報を伝えるには、神経伝達物質を含んだ小胞が破裂して内容物を放出しなくてはならない。そしてこのような小胞は、普通は細胞自身の外側の膜がくびれ込むことで再び作られるのだが、これは比較的時間のかかる過程である。 聴覚系は、どうやってこうした過程をずっと速く行えるようにしているのか、その仕組みを解明する助けとなりそうな研究が2報発表された。C GriesingerたちはAOPの論文で、耳の内有毛細胞が、このような小胞をリボンシナプスと呼ばれる構造に付随する細胞内プールから補充する仕組みを明らかにしている。 またT Moserたちも、リボンシナプスの重要性を強調している。彼らは、遺伝子工学的手法によってこの種の構造を欠失させたマウスでは聴覚が失われることを明らかにした。このリボンシナプスは小胞をタイミングよく休みなしに放出するうえで重要な役割を果たしており、この特殊構造がないと正常な聴覚が失われると結論している。

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