Nature ハイライト

がん:CCL2/インターロイキン6阻害薬の抗がん作用

Nature 515, 7525

炎症性単球は、CCL2などのサイトカインを分泌して浸潤し、転移性腫瘍の増殖を促進することがすでに明らかになっている。この知見に基づいて、CCL2の中和、あるいはその受容体CCR2の阻害が治療に有効となる可能性が報告されている。しかしL Bonapaceたちは今回、乳がんのマウスモデルを使い、抗CCL2療法の中断が治療効果を損なうだけでなく、無治療の場合に比べて肺で転移性腫瘍の増殖を加速し、マウスの死を早めることを明らかにした。これは、骨髄単球の急激な動員と、肺の転移環境におけるインターロイキン6依存性の血管新生増加に起因する。これらの知見は、抗CCL2薬のみを用いた単独療法について注意が必要であることを示しているが、一方で著者たちは、抗CCL2療法と抗インターロイキン6療法の併用が、マウスモデルで転移の減少と生存率の向上をもたらすことも実証している。

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