Nature ハイライト

脳:失われた時を求めて

Nature 431, 7005

思い出したものを過去に関係づける「再認」が起こった時の驚きは、2つの全く異なる種類の記憶の組み合わせが下敷きになっているのかもしれない。その1つは、特定の経験の意識的な「想起」であり、もう1つは、特定の刺激を過去に受けたことから生じる「知悉」の感覚である。人間では、記憶テストの被験者に特徴的な反応がみられるので、試験者は想起と知悉のどちらを使って記憶が再生されたかを判定できる。同じ手法を実験動物に対して用いることができるかどうかわかれば、これは役に立ちそうだ。もし使えるとなったら、人間の場合には使えそうもない方法で記憶の根源に迫れると考えられるからである。今週号には、この種の実験に成功したという報告が掲載されている。 H Eichenbaumたちは、人間で用いられている手法を使って、ラットが匂いを認識する仕組みを調べた。ラットの記憶には想起と知悉の両方が使われていることを確かめた上で、次に学習および記憶に関与する海馬に選択的な損傷を加えて再度テストを行った。脳に損傷のあるラットは、想起によって経験を思い出す能力が低下し、海馬がこの種の記憶に関与するという考え方が裏付けられた。

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