Nature ハイライト

発生:レチノイン酸が胚発生にかかわる経路を結びつける

Nature 435, 7039

今週号には、初期胚の器官を左右不相称に配置させる系が、矛盾したことに、体幹が確実に左右相称に形成されるようにも働くという報告が3つ寄せられている。  J C I Belmonteたちは、ゼブラフィッシュにおいて、器官のパターン形成や胚の軸形成を制御する分子機構が、レチノイン酸を基盤にしていることを明らかにした。初期胚で器官の左右のパターンを決める機構を実験的に破壊したところ、発生中の体幹領域の左側と右側が不均等に発生したことから、レチノイン酸は通常、左右のパターン形成機構が体軸に与える影響を和らげる働きをしているものと考えられる。これとは別にJ VermotとO Purquiéたちが行った研究も考えあわせると、胚発生にレチノイン酸が果たすこの役割は脊椎動物でよく保存されているらしい。  また廣川信隆たちは、マウスの初期胚のノードにある繊毛によって運ばれる、膜で覆われた小胞からのレチノイン酸とシグナル伝達タンパク質であるSonic hedgehogの放出も、左右不相称性に関係することを明らかにしている。この小胞の分泌の引き金となるのは、繊維芽細胞成長因子だという。

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