Nature ハイライト

神経科学:精密な運動を制御する脳幹の回路

Nature 508, 7496

今回、2つの論文が、哺乳類の運動制御に関する昔からの謎、すなわち到達などの運動を制御する脳–脊髄間回路の構成と機能を取り上げている。T Jessellたちはマウスを使い、一群の脊髄介在ニューロンについて調べた。これらのニューロンは他の種で細かい前肢運動に関わるとされているものである。彼らは、マウスではそれらのニューロンが運動指令と内部コピーシグナルの両者を伝えるのに適した解剖学的神経支配を持つこと、そしてその除去によって到達運動に障害が生じることを示した。また、このニューロンの上行枝を光遺伝学的に活動させると、小脳回路の活動が強化され、到達運動にも障害が生じた。この知見は、これらのニューロンが到達運動の際に運動出力を素早く更新する内部コピー経路の一部になっていることを意味している。一方、S Arberたちはウイルスを利用する追跡法と遺伝学的手法を使い、マウス脳幹から肢運動を調節する運動ニューロンに投射するさまざまなニューロンの性質を調べて、延髄網様体腹側部(MdV)と呼ばれる領域が、前肢の運動制御のために機能的に特化していることを明らかにした。この領域のニューロンは、特異的に前肢運動ニューロンを標的とし、運動課題遂行時に活動が増強した。また、これらのニューロンを不活性化すると細かい運動ができなくなる。

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