Nature ハイライト

Cover Story:隠された可能性:皮膚の発生と修復に関わる繊維芽細胞は、2つの別々の細胞系譜に属することが、追跡研究から明らかになった

Nature 504, 7479

移植された皮膚繊維芽細胞が、新たな毛包の形成を支持することが明らかになった。繊維芽細胞は、全身のほとんどの組織に存在する、外見は平凡な細胞であり、他の種類の細胞を支えるコラーゲンの形成を主に行っている。繊維芽細胞は全部がよく似ているように見えるのにもかかわらず、機能的には多様であることから、1種類の細胞が多様な刺激に対してそれぞれ異なる応答をしているのか、それとも個々の細胞が特殊化しているのかが疑問とされてきた。今回、マウスで移植と細胞系譜追跡の研究が行われ、皮膚の結合組織は2つの異なる系譜に属する繊維芽細胞から生じ、これら2種類の細胞はまた、皮膚の発生と損傷後の修復に対しても異なる働きをしていることが示された。一方の細胞種は下層の真皮を形成し、もう一方は上層の真皮を形成する。上層真皮を形成する方の系譜の細胞は毛包形成に必要であり、表紙では緑色で標識されていて、新たな毛包を取り囲んでおり、収縮して毛を立たす平滑筋(赤色)を構成する。損傷を受けた成体皮膚では、皮膚修復の第一波は「下層」真皮を作る系譜に属する細胞により行われる。このことによって、閉じたばかりの傷に毛包細胞がないことを説明できるかもしれない。著者たちは、平滑筋細胞や脂肪細胞を含めて、マウスの皮膚に存在する繊維芽細胞由来の全ての細胞種についての包括的な細胞系譜ツリーを構築した。

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