Nature ハイライト

構造生物学:ムスカリン性アセチルコリン受容体M2におけるアロステリー

Nature 504, 7478

Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、そのクラスBやクラスFファミリーに属するメンバーを含む多数の構造が現在入手可能だが、不活性状態から活性状態への遷移についてはよく分かっていない。今回、ヒトムスカリン性アセチルコリン受容体M2について、アゴニストのiperoxoのみが結合した活性化状態と、正のアロステリック調節因子であるLY2119620とiperoxoの両方が結合した活性化状態のX線結晶構造が解かれた。それらの構造によって、活性化型M2受容体は非常に小さなオルソステリック結合部位(内因性基質に対する結合部位)を持ち、LY2119620はアゴニストのちょうどてっぺんに「座った」ような形であることが明らかになった。さらに、M2受容体の不活性なコンホメーション中でアロステリック部位を形成している領域は、LY2119620を結合するには大き過ぎることが分かった。これは、細胞外領域が高親和性アゴニストとの結合により収縮しなければ、LY2119620がアロステリック部位に結合できないことを意味している。このGPCRは、心血管機能や認知、痛み知覚の生理的な制御に必須である。そして、アロステリック部位はオルソステリック結合部位に比べて配列や構造の保存程度が低いため、アロステリック部位に結合するリガンドを、ムスカリン性受容体の5つのサブタイプのうちの1つだけと選択的に相互作用する薬剤とすることができるかもしれない。

2013年12月5日号の Nature ハイライト

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