Nature ハイライト

構造生物学:ナトリウムチャネルの高分解能構造

Nature 486, 7401

カリウムチャネルについては構造が報告されているものが多いが、電位依存性ナトリウム(Nav)チャネルについては、神経細胞や筋細胞、心臓での活動電位の開始や伝搬における重要性にもかかわらず、構造情報がずっと少ない。細菌のNavチャネルは、構造・機能解析のよいモデル系となる。今回2つの研究グループが、一見したところ「不活性化」状態に当たるコンホメーションをとっている細菌NavチャネルのX線結晶構造を報告している。N Yanの率いるグループは、alphaproteobacterium HIMB114として知られる海洋細菌由来のNavRhの3.05 Å分解能での構造を決定した。W Catterallの研究グループは、Arcobacter butzleri由来のNavAbチャネルの3.2 Å分解能での結晶学的構造を報告しており、これらは2種類の不活性化状態に当たる可能性がある。これらの新たに得られた構造と、以前に報告された「開口前」の状態にあるNavAbについてのデータとの比較から、これらのチャネルの電気機械的共役機構の基盤となる可能性があるコンホメーション再編成が明らかになった。これらの研究は、チャネル病だけでなく、神経刺激薬の設計にも大いに関係してくる。

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