Nature ハイライト

遺伝:自閉症の遺伝学的不均一性

Nature 485, 7397

自閉症スペクトラム障害(ASD)には遺伝的特性が強くかかわっていると広く考えられているが、この病態の基盤となる原因はほとんど解明されていない。今回3つの研究グループが、散発性ASD患者とその両親やASDでないきょうだいを多数含めた、大規模なエキソーム塩基配列解読研究の結果を報告している。これら3つの論文を総合すると、自閉症患者間には極端な遺伝子座不均一性が見られ、ASDにかかわる遺伝子は数百個に上り、どの遺伝子を見ても、かかわっている症例はごく一部に過ぎない。Sandersたちは、以前にてんかん症候群で同定された遺伝子SCN2Aと自閉症リスクとの関連を明らかにした。Nealeたちは、CHD8KATNAL2が自閉症のリスク因子であることを示す強力な証拠を見つけた。O'Roakたちは、変異しているタンパク質の大部分が、β–カテニンシグナル伝達系やp53シグナル伝達系などの基本的な発生経路で重要な役割を担うタンパク質であることを明らかにしている。

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