Nature ハイライト

Cover Story:ディラック作用:極低温原子を使ってグラフェン中の未知の領域をマッピングする

Nature 483, 7389

ある種の固体は、その電子構造のために「ディラック点」を示すようになる。物性物理学で関心を集める多くの現象の核心にあるのが、このディラック点である。例えばグラフェンでは、ディラック点によって、電子は質量がゼロのディラックフェルミオンとして振る舞い、光速度で進行できるようになる。今週号には、ディラックフェルミオンの性質を制御する2つの大きく異なる方法が報告されている。従来型の固体では材料となっている物質の電子構造を変えられないため、ディラックフェルミオンの性質が制御される仕組みを明らかにするのは難しい。この制約を避けるため、Tarruellたちは、調整可能なハニカム光格子内の極低温量子気体という調節可能な系を作製した。このモデルでは、電子の役割を原子に行わせて物性物理学的性質をシミュレートする。ディラック点は移動させたり、また融合させたりできるため、トポロジカル絶縁体やグラフェンのようなエキゾチック物質の物理学的性質を調べられる。表紙は、2個のディラック点の交差を含む人工グラフェンのバンド構造。(Letter p.302; News & Views p.282)

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