Nature ハイライト

Cover Story:瀬戸際にある単語:言語の進化

Nature 449, 7163

言語が進化していくと、文法的規則が生まれて例外が滅びていく。Liebermanたちは、1,200年間にわたる英語の語法に基づいて、言語が次第に規則化していく速度を算出した。177の不規則動詞のうち、79語はこの1,000年の間に規則動詞に変化した。このような傾向は、単純なルールに従っている。すなわち、動詞の半減期はその使用頻度の平方根に応じて決まるのである。使用頻度が100倍低い不規則動詞ならば、10倍速く規則動詞に変わる。「-ed」を付けて過去形を表すような規則の出現は、例外的な語形に消滅を運命づけるものだ。表紙はこうした傾向をイメージ化したもので、字の大きさはその動詞の使用頻度に対応しており、大きな字で表された動詞は上部にとどまり、頻度が低い小さな動詞は下へ落ちていく。そろそろ規則動詞となりそうな不規則動詞「wed」は、下へ滑り落ちる寸前である。もう1つの研究でPagelたちは、言葉の意味の進化に注目した。インド・ヨーロッパ語では全体にわたって、「tail」や「bird」のような語は速やかに進化し、互いにつながりのない多数の単語によって表現されている。その他の、例えば数を表す「two」のような語は、全インド・ヨーロッパ語で、近縁度の非常に高い語形で表されている。80を超える現代言語のデータから、単語はよく使われるほど変化が少ないことが示されている。

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