Nature ハイライト

動物行動:ひとのふりみて判断するカケス

Nature 430, 7001

賢いことで知られるカラス科(Corvidae)の鳥は、自身と他の個体のカラス社会における位置づけを行う優れた感覚を備えている。今週号でA B Bondたちは、社会性の高いマツカケス(Gymnorhinus cyanocephalus)が、見知らぬカケスと既知のカケスとの間のやりとりを脇から眺めることで、新入りに対する自身の社会的地位を間接的に判断できることを報告している。この種の行動は「推移的推論」と呼ばれ、社会的関係の細やかな把握をよりどころとする。またこうすることによって、カケスは、直接的で時間がかかり、さらには痛い目にあう恐れもある、地位不明の個体とのかけひきを回避することもできる。推移的推論が社会的環境で用いられることは複数の研究で示唆されているものの、これまで動物では完全にコントロールされた条件下で確認されたことはなかった。今回得られた結果から、動物が社会的環境で推移的推論を実際に用いていることが明らかになり、この認識能力は社会性をもつ種に広く存在すると考えられる。

2004年8月12日号の Nature ハイライト

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