Nature ハイライト

物理:軽いタッチの量子測定

Nature 475, 7355

光を使って単一の原子やイオンを検出する方法では通常、光子のいくらかの自然散乱が起こり、これと測定対象との間にエネルギー交換が起こって測定対象の状態が変化する。このような相互作用で発生する熱は、原子を使った量子情報処理の場合には問題になる。しかし、この種のエネルギー交換は量子力学の基本的な必要条件ではない。今回J Reichelたちは、原子を光共振器中に閉じ込めると、自然散乱の問題を回避できることを明らかにしている。原子は共振器と強く結合するため、光と共振器との相互作用を検出すれば、原子の状態を調べることができる。実際には、この光子は共振器に入らずに原子を測定する。この方法は、基礎科学的な関心を集めるだけでなく、これによって最近提案された中性原子の量子計算スキームを簡単にできると考えられ、また閉じた遷移がない分子や原子の高感度検出が可能となるかもしれない。

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