Nature ハイライト

脳:記憶力増強薬の標的になる増殖因子

Nature 469, 7331

記憶強化機構は、記憶過程に関する情報をさらに得るためにも、臨床応用の可能性を探るためにも重要であるにもかかわらず、まだほとんど解明されていない。今回ラットの実験で、主に体組織の成長や修復に関与するとされるインスリン様増殖因子II(IGF-II)を投与すると、記憶保持が大幅に強化され、記憶の代理指標である長期増強現象が促進されて、忘却が抑えられることが示された。IGF-IIは、シナプス強化につながりうるシグナル伝達カスケードのネットワークを起動することで作用し、また、学習直後の短い時間内で最も有効である。したがって、IGF-IIは認知強化を調整するための標的となる可能性がある。

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