Nature ハイライト

進化:古代のシベリア人の指の記録

Nature 468, 7327

解剖学上の現生人類は、20万年前以降のある時点からアフリカに存在し、やや時代が下ってからユーラシアに到達した。一方、ネアンデルタール人を含む旧人類は、23万年以上前からユーラシアに存在し、つい3万年ほど前に化石記録から消滅している。今回、シベリア南部のデニソワ洞窟で発掘された旧人類女性のゲノム塩基配列が、手の指の骨から抽出されたDNAを用いて解読された。この「デニソワ人」女性が属していた集団は、起源がネアンデルタール人と共通であるが、ネアンデルタール人からユーラシア人への遺伝子流動(あったのではないかと推定されている)には関与していなかった。その一方で、現在のメラネシア人のゲノムの4〜6%に寄与していた。また、この指の骨と極めてよく似たミトコンドリアゲノムをもつ1個の歯の形態からは、この人類集団がネアンデルタール人とも現生人類とも進化的に異なっていることが示唆された。

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