Nature ハイライト

物性:スピントロニクス・キュービットの有望株

Nature 467, 7319

非磁性半導体ホスト中の孤立した磁性ドーパント原子は、スピントロニクス応用に有望な系である。それらの原子は、極めて小さなコンパスの針のように振る舞うが、それぞれの「コンパス」は異なる方向を向くので、従来の情報技術でのビットと同種の情報を保持できる。これまで、局所的な原子構造とドーパントの磁気特性との相関の研究は不可能だった。Khajetooriansたちは今回、二次元半導体系内の個々の磁性ドーパントのスピン励起を測定できる高感度走査プローブ技術を開発した。要するに、この技術は原子コンパスの針の向きを読み取れるのである。ドーパントは孤立した量子スピンとして働き、スピンは大きな磁気異方性効果によって表面の面内方向を向くことが明らかになり、この結果は計算によっても裏付けられている。今回の研究は、半導体中に埋め込まれた磁性ドーパントについて、原子スケールで単一スピン研究を行う出発点となる。

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