Nature ハイライト

宇宙:彗星が彗星でなくなるとき

Nature 467, 7317

特異な天体P/2010 A2は、2010年1月に発見された際には尾をもっていたことから、彗星であるとされた。しかし、この天体の「頭がない」ようにみえる外観と主小惑星帯の内側にある軌道は全く彗星のものらしくなく、尾をもった小惑星ではないかと考えさせるようなものだった。今週号の2編の論文は、P/2010 A2は小惑星であって、最近確認された主小惑星帯彗星の仲間ではないことを立証している。Snodgrassたちは3月に、ロゼッタ探査機によりP/2010 A2を観測した。この探査機は、7月10日の小惑星ルテチアへのフライバイに向け主小惑星帯に接近しつつあった。彼らは、P/2010 A2の尾が小惑星の衝突の残骸からできていると結論し、また、計算機モデルにより、問題となっている衝突が2009年2月に起きたことを突き止めた。Jewittたちは、ハッブル宇宙望遠鏡を使って2010年1月から5月にかけてP/2010 A2の高分解能画像を撮影し、この天体の「核」の直径は120メートルで、ミリメートルサイズの塵粒子が尾を形成していると推測している。彼らもまた、衝突は2009年初頭に起こったことを突き止めている。

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