Nature ハイライト

宇宙:返り咲いた「白色矮星」時計

Nature 465, 7295

白色矮星は星の進化の最終段階として最もよくみられるもので、そのため、例えば銀河系の年齢など、銀河系の構造や進化に関する重要な情報を伝えてくれる。NGC 6791は金属を豊富に含む散開星団で、私たちの近くに存在するため、非常にかすかな明るさの白色矮星までも撮像できる。星団の主系列星の転向年代から決定された年齢は、約80億年と見積もられているが、白色矮星の冷却段階の終わりを反映する「白色矮星の光度」による年代は、約60億年である。この見かけ上の矛盾は、銀河の正確な時計としての白色矮星の信頼性に疑問を投げかけるものだ。考えられる説明の1つは、白色矮星が冷えるにつれて、ヘリウムの燃焼によって生成される22Neが星の内部に沈み込み、結晶化や12Cと16Oの物理的な相分離が起こり、これが冷却を遅らせるというものである。García-Berroたちは、白色矮星の進化過程全体の数値計算モデルを用いて、NGC 6971のコアで物理的分離が実際に生じることを示した。このことから、この星団の年齢が80億年であることの確証が得られ、信頼できる正確な時計としての白色矮星の評価が復活したのである。

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