Nature ハイライト

生化学:薬剤結合部位を2つもつインフルエンザウイルスタンパク質

Nature 463, 7281

抗ウイルス薬のアマンタジンやリマンタジンは膜貫通プロトンチャネルであるM2タンパク質を標的とするが、世界的流行を起こしたH1N1インフルエンザウイルスは、これらの抗ウイルス薬に耐性を示す。このチャネルの構造については異論があり、M2チャネルの一部のX線結晶構造では、チャネル孔のN末端側の半分に1個のアマンタジン分子が結合しているのが示されたが、溶液NMRにより得られた構造では、へリックスのC末端側の脂質に面した表面に4つのリマンタジン分子が結合している。だが、固体NMR分光法を用いて高分解能で決定されたリン脂質二重層中のM2チャネルの構造が今回報告されたことで、この問題は解決されたようだ。この構造から、アマンタジンに対してそれぞれ高い親和性と低い親和性を示す、2つの結合部位が明らかになった。多剤耐性型のウイルスが将来出現する可能性が出てきているので、新たな抗インフルエンザ薬の開発は重要な目標であり、今回の結果はこの開発に役立つものとなりそうだ。

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