Nature ハイライト

細胞:欠陥ミトコンドリアDNAの交換修理

Nature 461, 7262

ミトコンドリアDNA(mtDNA)は母親から子へと受け継がれ、精子のミトコンドリアは胚のDNAに全く寄与しない。mtDNAの変異は、2型糖尿病、ミトコンドリア性筋障害や神経障害をはじめとするさまざまな疾患と関連している。8月26日に本誌オンライン版に先行発表され、今週号に掲載されている論文では、非ヒト霊長類モデルを用い、核を取り除いた卵にほかの卵から紡錘体-染色体複合体を移植することで、欠陥のあるミトコンドリアゲノムを交換できることを実証している。この実験では、2匹の雌アカゲザルから得た未受精卵が、「核」および「細胞質」のドナーとして使われた。こうして作製した卵を受精させて胚まで発生させ、それを代理母に移植した結果、健康な双生仔が生まれた。この2匹は、ミトコンドリアの可視化に用いられるプローブにちなんで、MitoおよびTrackerと名付けられた。この結果は、mtDNA疾患の家系で疾患の遺伝を防ぐ見込みのある方法を示唆している。この研究の倫理的側面については、本誌8月27日号 Editorial p.1057を参照していただきたい。

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