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医学:失明の初期サイン

Nature 460, 7252

加齢黄斑変性症(AMD)の患者は世界で3,000万人以上に上り、高齢者の主要な失明原因となっている。失明につながる血管新生を伴う型のAMDの標準治療薬は抗VEGF薬で、主にラニビズマブ(商品名ルセンティス)とベバシズマブ(商品名アバスチン)が使われている。しかし、これらで視力が改善されるのは患者の3分の1にすぎず、また、VEGFは正常な網膜機能に重要な役割を果たしているため、これらの薬が毒性を示すことも懸念されている。今回マウスモデルで、AMDの早期検出マーカーとしてサイトカイン受容体CCR3が同定され、早期診断が可能になりそうだ。もしも早期診断ができれば、臨床予後の改善に大きく貢献するだろう。さらに、CCR3やそのリガンドを標的とすれば、新生血管の網膜浸潤が抑制され、安全な代替治療法につながる可能性がある。

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