Nature ハイライト

ゲノミクス:ようこそ、5番染色体

Nature 431, 7006

2001年のヒトゲノム概要配列発表(Nature 409, 860-921; 2001)に続いて、染色体ごとの高品質配列情報が次々とデータベース化されている。 今週号では、J Schmutzたちの報告により、ヒト5番染色体にスポットライトが当てられている。5番染色体はヒトの染色体の中で最も長いものの1つだが、比較的遺伝子が少ない。しかし、遺伝子が少ない領域だからといって重要でないというわけではない。このような領域は、哺乳類以外の脊椎動物ゲノムの対応する領域とさまざまな点で非常によく似ているため、進化上よく保存されていることが示唆されるからだ。 また5番染色体には、進化の過程で比較的最近に重複した配列が目立つ領域がいくつか含まれる。これらの領域に起こった欠失が、脊髄性筋萎縮症などといった消耗性疾患の原因にかかわるとされていることから、このような重複は、おそらくヒトの生理的変動を生じさせるメカニズムとなっているのだろう。

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