Nature ハイライト

宇宙:月の初期の火山活動

Nature 450, 7171

月の起源と進化についてはいまだに論争が続いている。注目すべき論点の1つは、月の海、すなわち平原での玄武岩火山活動の開始および終了の時期がいつかということである。過去30年間の月の研究からは、月の海の火山活動が起こった主な時期は、39億年前に終わった後期重爆撃期、つまり極めて激しい隕石の落下時期の後だったと考えられているが、それは、月の海の玄武岩として知られているもののほとんど(月由来の隕石とアポロとルナが持ち帰った試料)やリモートセンシングのデータが、結晶化年代が39億年よりも若いことを示しているからである。しかし今回、月由来の隕石Kalahari 009の鉱物に対してU-Pb年代が新たに測定され、月の玄武岩に対しておよそ43.5億年という年代が与えられた。このことは、月が形成されて分化した後の比較的早い時期にあたる43.5億年前に火山活動が始まっていたこと、そして、Kalahari 009は月の「隠れた海(cryptomare)」から得られた最初の試料であることを示唆している。

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