Nature ハイライト

Cover Story:癌のゲノミクス:急性リンパ芽球性白血病の遺伝的基盤

Nature 446, 7137

SNPのマイクロアレイを用いて、DNAのコピー数の異常を見つけ出すという高分解能の全ゲノムプロファイリングにより、小児に最も多い癌である急性リンパ芽球性白血病に関連する遺伝子損傷が検出された。242名の患者由来の白血病芽球細胞を解析した結果、B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病患者の40%で、Bリンパ球の発生に重要な調節因子をコードする遺伝子の欠失、増幅、点突然変異および構造的な再編成が認められた。最も高頻度に異常がみられた遺伝子はPAX5であった。この結果は、これらの遺伝子損傷によって引き起こされる障害を回避できるような低分子分化誘導剤が新しい治療法研究の中心となること、またもっと一般的にみれば、同じような全ゲノム解析法が癌における新たな分子損傷を見いだす手段として有望らしいことを示している。表紙は、白血病細胞の蛍光in situハイブリダイゼーションの結果で、第9染色体p13に存在するPAX5(赤色)が第18染色体q11.2のZNF521(緑色)と融合していることを示している。[Article p.758, News & Views p.739]

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