Nature ハイライト

古生物学:微化石の矛盾する説明

Nature 446, 7136

中国南部のドウシャンツオ(Doushantuo)累層で見つかったリン酸塩化した微化石が初期動物の胚だとする報告をめぐっては、今も議論が続いている。ほぼ6億年前のこの微化石は、現在生息しているThiomargarita属に近い巨大な硫黄酸化細菌である可能性が最近示唆されたが、今回その検証が行われ、少なくとも化石標本の一部についてはその可能性がないことが明らかになった。新たな観察から、この胚様の化石群の一部が、有機物からなるアクリタークと呼ばれる精緻な小胞の中にあることがわかったのである。これは胚の休眠という繁殖戦略と一致する状況で、休眠の際には初期胚は「卵嚢子」期に入る。このことは、これらの生物が真核生物であったことを示唆している。さらに、オンライン版のBrief Communications Arisingにも「巨大細菌」とする解釈への反論が掲載されている。それによると、細菌のように見える微化石は、化石の形成・保存過程で被った予測できない変化によって、被嚢が外れてしまった可能性もあるらしい。

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