Nature ハイライト

Cover Story:オーキシンの作用機構:着剤として働いている植物ホルモン分子

Nature 446, 7136

植物ホルモンのオーキシンが植物の成長を制御する機構は、ダーウィンの時代から科学者を悩ませてきた。オーキシンはTIR1受容体に結合し、Aux/IAA転写抑制タンパク質のユビキチンに依存する分解の促進によって遺伝子発現を調節することが知られている。今回、3種類のオーキシンおよびAux/IAAペプチドとTIR1との複合体の結晶構造が決定され、オーキシンが「分子の接着剤」として働いて、受容体と分解標的であるタンパク質との相互作用を促進することが明らかになった。この研究は、オーキシンの作用機構を明らかにしただけでなく、植物ホルモン受容体の構造モデルを初めて提唱している。オーキシンのような低分子物質がユビキチンリガーゼを制御できることを明らかにしたこの知見から、ユビキチンリガーゼ異常に関連したヒト疾患に対する治療法開発にも新たな戦略が考えられるかもしれない。表紙は、TIR1(青色)とIAA7ペプチド(橙色)との間の空洞内にあるオーキシンを空間充填モデルで示している。[Article p.640, N&V p.621, www.nature.com/podcast]

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