Nature ハイライト

有機化学:保護基よ、さらば

Nature 446, 7134

より単純な開始物質から複雑な有機分子を作り上げる全合成は、過去50年間に大きな進歩を遂げた。こうした進歩にもかかわらず、生物学研究に用いる巨大な天然物を十分な量生成できる合成経路の構築は、現在もなおむずかしい問題である。今回、合成過程で常用されていた保護基使用を撤廃することがこうした目的につながると、ある化学者チームが気づいた。分子内のどこかで化学変換が行われている間、別の反応部位を隠しておくのに保護基が必要とされることは多い。しかし今回、海洋性アルカロイドの大きなグループに属する複数の化合物が保護基を1つも用いずに合成され、「保護基を使わない」方法のもつ能力が実証された。従来は20段階以上の化学操作を要していた分子が、この方法によって10段階以下の化学操作で大量に得られるようになったのである。

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