Nature ハイライト
Cover Story:オオヤマネコの力:干ばつが頂点捕食者間の軍拡競争を引き起こす
Nature 659, 8139
気候変動によって異なる種間の相互作用がどう変わるかは、温暖化が進む世界の圧力に対して生態系がどのように応答し得るかを決める重要な要因の1つである。しかし、こうした状況下で、脊椎動物に属する頂点捕食者同士の相互作用がどのように再編され得るのかは、ほとんど分かっていない。今週号ではF Sergioたちが、スペイン南部のドニャーナ国立公園に生息する2種類の頂点捕食者の間の相互作用を調べ、この問題に光を当てている。研究チームは、公園内のウサギの個体数が疾病によって減少した後、続いて起きた干ばつ条件が、ウサギを共通の餌とするスペインオオヤマネコ(Lynx pardinus、表紙画像)とトビ(Milvus migrans)の間に一種の軍拡競争を引き起こしたことを見いだした。通常、この2種の捕食者は互いに干渉しないが、干ばつ条件によって代わりの餌動物を得にくくなると、オオヤマネコはトビの幼鳥を捕食し始めた。これは、残されたウサギを巡る競争を排除する行動と見られる。この捕食によってトビはなわばりを放棄し、その結果、より小型の猛禽類であるコキンメフクロウ(Athene noctua)が繁栄できるようになった。これらの結果は、気候の変化が、頂点捕食者のレベルで生態系をいかに大きく再編し得るかを示している。
2026年11月5日号の Nature ハイライト
惑星科学:望遠鏡を変えずに系外惑星の撮像感度を改善
スピントロニクス:正味の磁化を持たない磁性体からのスピン注入
半導体:硫化ビスマスで電子–正孔再結合が遅延
デバイス用材料:半導体薄膜の成長を制御して高性能な光検出器を作製
材料科学:繊維材料の階層的な力学をX線でマッピング
材料科学:単結晶を成長させるワイヤーアーク積層造形法
地球力学:マントル対流が駆動した大不整合の形成と保存
社会科学:健康教育が村落の社会的ネットワークを再編する
古生物学:初期の四肢動物の首は動きにくかった
遺伝学:遺伝的に多様な集団での祖先的効果
遺伝学:ゲノムの機能的制約を予測する最高水準の言語モデル
社会神経科学:集団逃避行動の神経基盤
神経科学:レチノイン酸が大脳皮質の領域特性を支える
植物科学:サリチル酸が遺伝子発現を活性化する仕組み
幹細胞:肺胞細胞も細気管支の修復に寄与
免疫療法:γδ T細胞の腫瘍反応性を予測
がんゲノミクス:転移性膀胱がんの進化と不均一性を探る
膵臓がん:肝細胞のセリン供給ががんの転移を支える
構造生物学:スプライソソームの解体と再利用を導く機構

