Nature ハイライト

Cover Story:翅で惑わす:チョウは運動錯覚を生み出して、捕食者から逃れるのに役立てている

Nature 658, 8137

キアゲハ(<i>Papilio machaon</i>)の翅模様。
キアゲハ(Papilio machaon)の翅模様。 | 拡大する

Dr George RA Hancock

姿を見えなくすることやカムフラージュは、動物が静止時に捕まらないようにするための非常に優れた手段だが、どんな動物もいつかは動かねばならず、そうした運動時に捕食者から逃れるのは静止時よりもはるかに困難である。シマウマの縞模様などは、捕食者を混乱させるのに役立つと長らく示唆されてきたが、これを明確に裏付ける証拠は意外にも乏しい。今週号ではJ Trosciankoたちが、チョウを手掛かりにこの問題に取り組んでいる。研究チームは、チョウの翅の模様と飛翔力学の組み合わせが、チョウが飛翔中に鳥に捕食されるのを避けるのに役立っているかどうか確かめることにした。著者たちは、この問題に複数の角度から取り組んだ。まず、チョウが飛び立つ様子を撮影し、その形状と羽ばたきを捉えたところ、これらが翅模様と組み合わさると見かけの動きが前方ではなく後方と側方へずれることが見いだされた。彼らは次に、系統解析を行い、このような効果がチョウの種に広く見られることを明らかにした。この効果が選択の結果であることを検証するため、翅模様の進化のコンピューターモデルを作成したところ、ヨーロッパのチョウの種に見られるものと似た翅模様が得られた。研究チームはさらに、人々に仮想のチョウの捕獲を試みてもらうことで、自分たちの考えを検証した。その結果、翅模様と飛翔力学の組み合わせで後方への運動錯覚が生み出され、チョウの捕獲が難しくなることが確認された。

2026年10月22日号の Nature ハイライト

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