Nature ハイライト
Cover Story:降雪を左右するもの:熱帯域の海水温に起因する降雪量の増加で、南極の氷の質量が一時的に増加した
Nature 656, 8129
Dr. Yoshihiro Nakayama
過去数十年間、南極氷床は気候変動の結果として着実に質量を失ってきた。しかし2021〜2023年に意外なことが起きた。氷の減少速度が劇的に鈍化し、東南極では実際に氷質量が大幅に増加したのである。今週号ではQ Dingたちが、この直感に反する事象の説明を提示している。著者たちは、南極と、熱帯暖水域(太平洋とインド洋にまたがる水域)の海面水温の持続的な上昇との間に、大気を介したつながりが存在することを見いだした。異常に暖かい熱帯の海水は、大気中に高気圧域と低気圧域が交互に並ぶ波列を形成し、それが極方向へと伝播した。これによって東南極上空に高気圧偏差が生じ、降雪量が増加し、これが氷質量の増加を駆動した。しかし研究チームは、この質量増加は一時的なものに過ぎない可能性が高く、世界の温暖化に伴って氷質量の正味の減少は続くと指摘している。
2026年8月27日号の Nature ハイライト
天文学:銀河系外に初めて確認された恒星ストリーム
惑星科学:潮汐信号で探る火星内部
ペロブスカイト太陽電池:ペロブスカイト太陽電池の性能向上に向けた単分子膜構造
生体触媒:ATPγSの再生で実現するチオリン酸化
材料科学:ヒドロゲル液滴をマイクロファイバーに変換
環境社会科学:太陽電池廃棄物リサイクルの取り組み
森林生態学:熱帯林のバイオマスを左右する環境要因
進化学:凝集も多細胞性の進化に関与した可能性
遺伝学:健康記録と遺伝情報のベイズ統合
神経科学:幻覚剤の作用は秩序を生み出す
社会行動学:社会性昆虫における行動変化の神経基盤
健康科学:1990〜2023年のアジアでの平均寿命の推移
細胞生物学:ミトコンドリア代謝が老化炎症を促す
腫瘍免疫学:TLSは腫瘍特異的T細胞の育成場である
免疫学:腸特異的に炎症を抑えるGPR15発現CD8 T細胞
がん幹細胞:腫瘍細胞状態を標的とした抗体薬物複合体によるがん治療
分子生物学:一緒に組み込む修飾ヌクレオチドがmRNA医薬を改善する
タンパク質設計:GPCRミニタンパク質性のアゴニストとアンタゴニストの設計
構造生物学:メタン生成を支える超複合体

