Nature ハイライト
Cover Story:年齢を測る:遺伝子発現バイオマーカーを使ったトランスクリプトーム時計で死亡率と寿命を予測する
Nature 654, 8117
長寿の研究者は長年、個人の健康状態と寿命を予測するために使用できるバイオマーカーを探し求めてきた。DNAのメチル化に基づくエピジェネティック時計は、この目標を前進させてきたものの、その根底にある生物学的過程については限られた知見しか得られていない。今週号では、A TyshkovskiyとV Gladyshevたちが、暦年齢だけでなく、予測される死亡率や、寿命を変化させる効果も推定する、遺伝子発現データに基づく一連の「トランスクリプトーム時計」を開発したことを報告している。著者たちは、4種の哺乳類(マウス、ラット、カニクイザル、ヒト)の25種類以上の組織にわたる1万1000件超のトランスクリプトームを用いて、種や細胞タイプを超えて広く保存されている、老化に関連する遺伝子発現変化を特定した。重要な点は、トランスクリプトームの読み出しデータが機能的な遺伝子モジュールへと分類され、これによって、老化を特定の生物学的経路のレベルで定量できるようになったことである。これにより、さまざまな細胞過程が老化とその調節にどのように関連しているかについて、さらなる解析が可能となる。
2026年6月4日号の Nature ハイライト
天文学:観測に基づいた最高宇宙線エネルギーの制約
原子核物理学:テルル104の極めて速いα崩壊
集積光学:フォトニックチップに集積されたナノジュール級レーザー
メタマテリアル:熱伝達の増強を操作できるメタマテリアル
太陽電池:酸の連続的な傾斜ドープによるペロブスカイト太陽電池の高効率化
古人類学:食性の変化に伴う歯のナノ構造の適応
高分子:メカノフォア導入によるバリスティックエネルギー散逸の増大
気候科学:累積炭素排出量に連動する複合極端現象の増加
環境科学:森林のバッファープールは自然の撹乱による炭素損失を相殺するには小さ過ぎる
生態学:アマゾンの森林減少は自己増幅する
自己免疫:自己反応性リンパ球がチェックポイントを回避する仕組み
神経回路:正常な痛覚を保ち慢性痛のみを消し去る回路
神経科学:動作記号のアルファベット
細胞生物学:雄性と雌性の前核が受精卵で空間的に分離する機能的意義
ウィメンズヘルス:妊娠と授乳がもたらす腸管バリアの長期的強化
微生物学:トリパノソーマの抗原レパートリー多様化の仕組み
がん:大腸がん最初期に腫瘍胎児性可塑性の出現を支える仕組み
細胞生物学:足場タンパク質がPP2Aの基質を並べて分解を助ける
生物工学:PerturbFateで黒色腫細胞の薬剤抵抗性を追跡

