Nature ハイライト
Cover Story:毒ヘビへの対抗策:広範なヘビ毒に対して効果が期待される人工抗毒素
Nature 647, 8090
Wolfgang Wüster
表紙は、サハラ以南アフリカに生息する数多くの猛毒ヘビの1種トウブグリーンマンバ(Dendroaspis angusticeps)の接写画像である。サハラ以南アフリカでは、毒ヘビ咬傷が深刻な健康問題となっており、毎年数千人の死者と重症者を生み出している。しかし、現在、有効な抗毒素はあるものの、それらは高価なものが多く、有害な免疫応答を引き起こし得る上、多数のヘビ毒に対しては有効性が限定的であるなどの問題を抱えている。今週号ではA Laustsenたちが、広範なヘビ毒に対して有望な人工抗毒素について報告している。この抗毒素は、ナノボディと呼ばれる小型の抗体に基づいている。研究者たちは、マンバ、コブラ、リンカルスを含むアフリカのヘビ18種の毒液をラマとアルパカに接種することで、さまざまな毒液に含まれる主要毒素を標的とする8種類のナノボディを突き止めることに成功した。彼らは、これらのナノボディを組み合わせて、試験した18種のうち17種のヘビの毒液からマウスを防御する抗毒素を作製した。
2025年11月20日号の Nature ハイライト
天文学:太陽以外の星で明確に検出されたコロナ質量放出
極低温原子:量子コヒーレンスの広がりの普遍的な速度限界
ナノスケール材料:レーザーパルスによるツイスト角の超高速制御
光学・フォトニクス:ランタノイドドープナノ粒子の電気的活性化
生体触媒:AIを用いた酵素の基質特異性の予測
生体触媒:酵素による小分子の脱ラセミ化
生態学:水温で分かれる河川の魚類の生物多様性
古生物学:鱗竜類の起源を示す三畳紀のムカシトカゲ
古生物学:ヘビ類の起源に近いジュラ紀の新たな化石有鱗類
神経科学:慢性痛を制御するニューロンが見つかった
微生物学:ヒト腸内細菌のゲノムからプロファージを誘導する
幹細胞:システインが免疫を介して腸の再生を促す
細胞生物学:mtDNAへの異常リボヌクレオチドの取り込みが炎症を誘発
免疫学:STINGが駆動するネクロトーシス誘導性炎症機構
がんゲノミクス:卵巣がんの薬剤抵抗性の進化を追跡する手法
細胞生物学:ホリデイジャンクションが担う調節的役割
細胞生物学:減数分裂時に染色体の交差を確実に生じさせる仕組み
分子生物学:細胞の新しい恒常性維持機構「インタースタシス」

