Article
免疫学:コブラ、マンバ、リンカルスの咬傷に対するナノボディベースの組換え抗毒素
Nature 647, 8090 doi: 10.1038/s41586-025-09661-0
毒ヘビ咬傷は、サハラ以南アフリカの全域で毎年数千人の命を奪い、被害者に重傷を負わせており、被害者の多くにとって唯一の治療選択肢は、動物の血漿に由来する抗毒素である。従来の抗毒素は、高価で、有害な免疫応答を引き起こす場合があり、局所的な組織損傷に対する効果は限定的であるのに加え、医学的に重要な全てのヘビ種に対して有効ではないことが多い。そのため、毒ヘビ咬傷治療における新機軸が、満たされていない緊急の医療ニーズとなっている。しかし、毒ヘビは非常に多様で、その毒液も複雑で多様な組成を持つため、広範なヘビ毒に対する治療法の開発は極めて困難である。今回我々は、マンバ、コブラ、リンカルスを含む18種のヘビの毒液でアルパカとラマを免疫感作し、ファージディスプレイライブラリーを構築して高親和性かつ広域な中和ナノボディを特定することで、この課題に取り組んだ。我々は、これらのナノボディの8種類を組み合わせて、組成が明確に定義されたオリゴクローナル混合物を作成し、その結果、7種類の毒素ファミリーあるいはサブファミリーを中和できる試験的な多価組換え抗毒素を得た。この抗毒素は、アフリカに生息するコブラ科ヘビの17種について、毒素による致死をin vivoで効果的に防ぎ、調べた全ての細胞毒性毒液による皮膚壊死を著しく軽減した。この組換え抗毒素は、現在用いられている血漿由来の抗毒素よりも優れた成績を示し、従って、医学的に重要な全てのアフリカのコブラ科ヘビによる咬傷に対して、大陸規模での包括的な防御を実現する上で非常に有望である。

