Nature ハイライト

がん:血液供給を妨げる

Nature 444, 7122

VEGF、つまり血管内皮増殖因子は、その性質が最もよく解明されている腫瘍血管形成誘導因子であり、VEGFの阻害はがん治療の重要な方法となっている。しかし、この方法はすべての腫瘍に効果があるわけではない。そこで、これに代わる手段の探索が続けられている。今回2つのグループが、Dll4(Delta-like ligand 4)の阻害が、VEGFの阻害に代わる選択肢の1つになる可能性を報告している。細胞膜を貫通する分子であるDll4は、Notchシグナル伝達経路の一部であり、胚の血管の正常な発生に不可欠であることが知られていた。今回の研究で、Dll4が腫瘍の血管形成にも必要とされることが明らかにされた。Dll4の阻害は、抗VEGF療法に耐性を示す固形がんの患者に対する、実行可能で耐容性もおそらく高い代替法となりそうだ。

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