Nature ハイライト

Cover Story:死がもたらす進路:捕食者の大量死が湖の生態系に及ぼす隠れた影響

Nature 626, 7998

表紙は、米国テキサス州のコーパスクリスティ湖で発生した魚の大量死の様子である。こうした事象はますます増えているが、食物網に対する捕食者の死の影響は完全には分かっていなかった。今回S Tyeたちは、いささか直観に反しているが、実際には湖生態系における捕食者の大量死が食物網を安定化し、捕食者除去の影響を隠し得ることを明らかにしている。著者たちは、植物プランクトン、動物プランクトン(植物プランクトンを餌にする)、魚(動物プランクトンを餌にする)からなる人工的な湖環境を作って実験を行った。その結果、魚が大量死すると、捕食の減少によって動物プランクトンが急激に増加する代わりに、死んだ魚の分解が植物プランクトンへの栄養供給を助けるため、植物プランクトンの数が増えて食物網の安定化に役立つことが分かった。

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