Nature ハイライト

ナノスケール材料:トランジスターの性能を向上させる新たなゲート酸化膜構造

Nature 604, 7904

トランジスターを数ナノメートルに縮小すると、量子トンネル効果に起因するリーク電流などの問題が生じる。これに対処するため、ゲート誘電体として数ナノメートル厚のHfO2などの高誘電率材料を用いて、キャパシタンスが増大され短チャネル効果が抑制されている(酸化膜が薄いほどキャパシタンスは大きくなる)。今回S Cheemaたちは、ゲートスタックとしてHfO2–ZrO2超格子ヘテロ構造を調べ、2 nm厚の酸化膜スタックによって、HfO2単層などの、現在市販のトランジスターに用いられている高誘電定数ゲートスタックよりもキャパシタンスを大きくできることを見いだしている。この超格子ゲートスタックを組み込んだトランジスターでは、信頼性や移動度の低化は見られなかった。キャパシタンスの増大は、超格子スタックにおける強誘電性秩序と反強誘性秩序の混在に起因する。

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