Nature ハイライト

考古学:ニューファンドランド島にバイキングが居住していた年代

Nature 601, 7893

ランス・オ・メドー(LAM)遺跡で発掘された木製人工物の破片の顕微鏡画像。
ランス・オ・メドー(LAM)遺跡で発掘された木製人工物の破片の顕微鏡画像。 | 拡大する

Credit: Petra Doeve

ノース人(バイキング)が大西洋を渡り、ニューファンドランド島北部のランス・オ・メドー(LʻAnse aux Meadows;LAM)遺跡の場所に集落を形成したことは、以前から知られている。ノース人の物語からは、LAMでの居住がさほど長く続かなかったことが示唆されているが、これまで放射性炭素年代測定法で得られた年代は不正確で、ノース人がこの地に存在した年代の推定は、バイキング時代全体(紀元793〜1066年)と幅があった。今回M Deeたちは、1年の精度で年代を特定できる比較的新しい放射性炭素年代測定法を用いて、ノース人のLAMでの居住が紀元1021年であったことを明らかにしている。この証拠は、正確な伐採年が特定可能な木製人工物の新たな放射性炭素年代測定値と、紀元993年に宇宙線の活動が急激に活発化したことで大気中の14Cの量が急増した、という偶然の天文学的事象によってもたらされた。今回の結果は、バイキングがLAMに存在したのが今からちょうど1000年前であったことを示しており、これは、コロンブスの大航海以前に大西洋を渡ったヨーロッパ人の存在を示す唯一の確かな暦年となる。

2022年1月20日号の Nature ハイライト

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