Nature ハイライト

疫学: スーパースプレッディング現象の脅威と対策

Nature 438, 7066

腸チフス菌の保菌者で大勢に感染させた「チフスのメリー」からSARSの場合まで、普通よりずっと多くの人に病気を移す感染者がいることは以前から知られている。しかし、多くの感染症はちょっとした接触で伝播するので、専門家たちが感染症の広がりを見積もるには、集団の平均に頼らざるをえなかった。一部の解析では感染症流行の経過を予測するために、R0という値が使われているが、これは未感染者集団内で1名の感染者から生じる二次感染者の平均数を表したものである。  今回J Lloyd-Smithたちは、感染症流行がどのように発生するかを、より高度なやり方でとらえる必要性があると述べている。彼らは8種のヒト疾患について詳しく調べ、SARS(そしておそらく鳥インフルエンザ)など一部の感染症が「スーパースプレッディング現象」を起こす傾向が強いことを示している。これは、1人の感染者からの二次感染者の数に大きなばらつきがある、つまり特定の感染者からの二次感染者の数が並外れて多くなるという現象である。解析の結果、天然痘や肺ペスト(2つとも病原菌が生物テロに使われる可能性がある)を含む他の感染症はもっとむらのない広がり方をするとわかった。  「著者たちは、新興感染症は集団規模での介入よりも個人ごとに特定の戦略をとった方が撲滅の見込みが高いことを示している。それは、こうした戦略によって感染力の不均一性が高まるからである」とNews and ViewsでA GalvaniとR Mayは解説している。

2005年11月17日号の Nature ハイライト

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