Nature ハイライト

Cover Story:セル流体工学:液体や気体の輸送のための生物に着想を得た3Dネットワーク

Nature 595, 7865

自然界には、効率よく流体を輸送するシステムがたくさんあるが、それらは複雑で模倣するのが難しいことが多い。今回E Duossたちは、小さな立方体(「単位セル」)が互いに接合して、自然界に見られる流体輸送システムのいくつかを模倣し得る3Dネットワークを作る、生物に着想を得たプラットフォームについて報告している。著者たちは、この方法を「セル流体工学(cellular fluidics)」と呼び、3D印刷を用いて、3Dネットワークの構成要素となるミリメートルスケールの立方体セルを作製した。組み立てられたシステムを通した液体の輸送は、制御された毛細管現象によって実現される。著者たちは、このシステムを実証するために、「根」の部分のリザーバーから上方の「枝」の部分に液体を連続的に移動させ、そこで液体が蒸発して失われることで蒸散を模倣する、木に似た構造を組み立てた。表紙は、この輸送過程をさらに再考したもので、セル流体工学に基づく生物に着想を得た脈管構造の想像図である。

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