Nature ハイライト

微生物学:微生物相を標的とした代謝疾患の治療

Nature 595, 7865

腸の微生物相が肥満症や2型糖尿病などの代謝疾患に関与するという証拠が増えており、微生物相を標的とした手法によって、疾患を管理し、健康を増進できる可能性が示唆されている。J Gordonたちは今回、マウスとヒトを組み合わせた研究について報告している。この研究では、長期的なメタゲノミクスと血漿プロテオミクスを適用し、3つの異なる持続可能な供給源に由来する食物繊維のサプリメントに応答して起こる微生物相の組成や機能的能力の変化と、それに伴う血漿プロテオームの変化を監視した。得られたデータから、各食物繊維サプリメントに関連するマイクロバイオームや宿主の最も際立った特徴が特定され、宿主の生理学的状態に望ましい変化を引き起こすための食餌介入の使用の原理証明がなされた。ヒトでの研究は小規模で短期間であったが、今回有望な結果が得られたことで、ありふれた疾患の安全かつ手頃な価格での持続可能な管理に向け、これらをはじめとするプレバイオティクスを用いる大規模な介入試験の道が開かれた。

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