Nature ハイライト

構造生物学:膜の張力を強化する

Nature 590, 7846

膜から分離して孤立して機能する膜タンパク質は存在せず、全ての膜タンパク質はそれらを取り囲む膜環境の影響を受けている。メカノセンシティブ(機械感受性)イオンチャネルの場合は、膜の張力によってゲートが開閉するので、特にこの影響が顕著である。しかし、これらのタンパク質がどのような仕組みによって機械力を感知するのか、その解明は難しい。今回T Walzたちは、機械力によって活性化されるチャネルMscSについて、多様な膜環境中での構造の特徴を調べている。彼らは、β-シクロデキストリンを使えば膜二重層から脂質を除去でき、これによって二重層の残りがMscSタンパク質の上に広げられ、張力を生じることを見いだした。今回MscSによるメカノセンセーションを可視化できるようにしたこの方法は、他のメカノセンシティブタンパク質の研究にも使えそうである。

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