Nature ハイライト

細胞生物学:生体分子の凝縮物と植物の温度感受性

Nature 585, 7824

温度のような環境シグナルは、概日時計を介して、植物の成長や発生に統合されている。具体的には、EC(evening complex)と呼ばれる概日時計の中核構成要素が、温度応答性の転写抑制因子として周期的に働いている。ELF3は、この複合体を構成する3つの要素の1つであり、プリオン様ドメイン(PrD)中にポリグルタミン反復配列を持つ。P Wiggeたちは今回、ELF3は自身のPrDを介してECの温度感知構成要素として働くことを明らかにしている。具体的には、高温の気候で生育する(温度応答性を持たない)植物のELF3は活性型であり、検出できるPrDを持たない。対照的に、シロイヌナズナ(Arabidopsis)のようにPrDを持つELF3は、高温にさらされると数分以内に斑を形成する。in vitroのデータから、ELF斑は液–液相分離によって形成されることが示唆され、この生物物理学的現象が持つ生物学的役割が垣間見える珍しい例が示された。

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