Review

進化学:多細胞性への進化的移行における主要な課題の克服

Nature 658, 8135 doi: 10.1038/s41586-026-11038-w

地球の進化史および生態史は、多細胞性の数十に上る独立した起源によって大きく形作られてきた。こうした移行によって、大規模な放散が複数回引き起こされ、数千から数百万もの種が生み出されるとともに、より複雑な体への進化がもたらされた。多細胞生物のタクソンは、現在では地球上の生物量の大半を占めており、全球の生態系を根本的に変えることで、森林や草原からサンゴ礁まで多様なバイオームを支えている。こうした大進化のパターンは古くから認識されてきたが、多細胞性への移行を駆動する小進化の過程は不明なままであった。単独の細胞がどのようにまとまりのある集団を形成するのか、そうした集団がどのように多細胞レベルで適応可能な進化の単位となるのか、そして、新たな細胞タイプや発生パターンがどのように生じるのかという疑問が残されている。近年、新種の多細胞生物が複数発見され、実験モデルが複数開発されたことで、これらの疑問に関する重要な知見がいくつも得られている。こうした研究から、一見すると克服し難い進化上の障壁が、祖先的な単細胞形質の転用、または多細胞集団に自発的に生じる創発特性を通じて、しばしば容易に克服されることが分かってきた。本総説で我々は、単一の細胞が機能的に統合された多細胞生物へと進化し得る機構に重点を置き、複雑化する多細胞性の進化を支える小進化過程について、理解の飛躍をもたらした主要な進展を概説する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度