植物生態学:CO2濃度の上昇はC4イネ科植物の生産を促進する
Nature 658, 8135 doi: 10.1038/s41586-026-10935-4
大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇は、気候を介した間接的な効果と植物の生産力に対する直接的な効果を通して、全球の陸域生物圏に影響を及ぼしている。熱帯林では、長期モニタリングによって、CO2に駆動される大規模な炭素シンクの存在が示されている。C4イネ科植物が優占する熱帯・亜熱帯のサバンナは、陸域の純一次生産の約30%を担っているが、CO2への応答に関する同様の長期解析が不足している。今回我々は、70件のCO2添加実験のメタ分析と、アフリカ南部での32年間のin situ野外観測を通して、乾燥条件では野生のC4イネ科植物に対するCO2の肥沃効果が広範に見られるという、明瞭で一貫した結果が得られたことを示す。実験では、イネ科植物は、CO2濃度が高い条件では気孔コンダクタンスを低下させ、水分損失を抑えながら炭素獲得量を増加させた。野外では、30年間の観測を通して、水利用効率の向上がC4イネ科植物のバイオマス生産量の増加につながった。さらに、Community Land Modelを用いたシミュレーションの結果から、C4イネ科植物の地上部生産力に対するCO2の肥沃効果が、将来の条件下でも引き続き増大する可能性が示唆された。総合するとこれらの結果は、C4イネ科植物はCO2濃度の上昇に応答しないという見方に疑問を投げ掛けており、実際には、アフリカ南部の野外におけるイネ科植物の年間地上部生産量が30年間で28%増加したことを示す。このCO2に起因する年間生産量の増加は、75.1 g m−2(95%信頼区間74.5~75.8 g m−2)、または炭素量にして0.37 t C ha−1に相当する。この炭素の行方は、火災、植食、木本植生とのフィードバックに依存するため不確かだが、全球の炭素循環への影響は大きい可能性がある。

