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微生物学:ファージT7キナーゼによる広範なリン酸化が細菌の防御を無効化する

Nature 658, 8135 doi: 10.1038/s41586-026-10934-5

細菌とバクテリオファージは、それぞれ防御系と抗防御系を発達させる絶え間ない軍拡競争を繰り広げている。現在知られている、ファージにコードされた抗防御系は、標的となる細菌防御系の活性に特異的に作用する。本研究で我々は、T7バクテリオファージが、タンパク質のリン酸化を使って細菌の防御に広く対抗する機構を突き止めた。T7のキナーゼ(T7K)は、これまでは少数の宿主タンパク質の機能を転換させることが報告されていたが、実際には、基質許容性が極めて広い二重特異性のキナーゼであり、感染中に宿主およびファージのほぼ全てのタンパク質をリン酸化することが分かった。このリン酸化の規模は、大腸菌(Escherichia coli)における既知のリン酸化部位の規模をはるかに上回る。このリン酸化には配列モチーフ特異性がなく、その結果、プロテオーム全体でのリン酸化密度は、約500種類のキナーゼを有する哺乳類細胞よりも高くなる。リン酸化部位の占有率(化学量論)の解析によって、T7Kの活性は、自身のC末端DNA結合ドメインを介して、核酸結合性の基質に強く偏ることが明らかになった。このように高い占有率で起こるリン酸化によって、DNAを標的とする、あるいはDNAを含む細菌防御系を不活性化できる。我々は、T7Kが特定のリン酸化事象を通じてDNAを含むRetron-Eco9の働きをどのように弱めるか、その仕組みについての知見を示し、毒素の重要部位のリン酸化模倣変異を1つ導入するだけで防御が失われることを明らかにした。さらに、大規模な大腸菌株コレクションをスクリーニングしたところ、T7Kによって防御を無効化された菌株は多様な細菌防御系を備えていたことから、T7Kが自然界で広範な抗防御能を有しているという証拠が得られた。T7Kホモログはほぼファージのみに見いだされ、その基質許容性が極めて広いキナーゼ活性は、触媒中心にある、配列が分化したDFG様モチーフによっておそらく可能になっている。

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