免疫学:母体由来の自然免疫が新生児を大腸菌敗血症から保護する
Nature 653, 8114 doi: 10.1038/s41586-026-10225-z
大腸菌(Escherichia coli)は新生児敗血症の主要な原因であり、生児出生約1000件に1件の頻度で感染が発生している。しかし、大腸菌の定着は出生後間もなく始まり、新生児の宿主防御の成熟には欠陥があることを考えると、むしろ感染がなぜもっと頻繁に起こらないのかという別の疑問が生じる。今回我々は、大腸菌敗血症を発症した新生児では、大腸菌を認識する垂直移行性の自然抗体が選択的に減少しており、これが感染への感受性を機構的に説明することを示す。補完的な前臨床研究では、母マウスで、妊娠前にプロバイオティクス大腸菌Nissle 1917(EcN)を腸に定着させると、新生児敗血症の原因となる臨床分離株に広範な交差反応性を示す抗大腸菌免疫グロブリンG(IgG)抗体がプライミングされ、新生仔マウス固有の感受性が無効化されることが示された。外膜タンパク質A(OmpA)は母体IgGの標的であり、EcN定着によって誘導される血清学的免疫原性にも不可欠である。定着によってプライミングされた抗大腸菌IgGは、新生仔へ垂直移行した後に、オプソニン作用を介して特異的に感染から防御し、この防御には補体とIgG Fc受容体の両方が必要であった。性別と在胎週数を一致させた感染のない健康対照新生児の検体と比較して、大腸菌敗血症を発症した100人の新生児から出生1日後に採取した乾燥血液スポット検体では、プールした大腸菌臨床分離株およびOmpAに対するIgG力価が一貫して低下しており、IgG依存性の抗菌オプソニン作用も損なわれていた。まとめるとこれらの結果は、新生児の自然な感染感受性が抗大腸菌IgGによって効率的に救済されることを実証しており、病原体を標的とする垂直移行免疫の欠陥が、新生児における重篤な侵襲性感染の主要な危険因子であることを特定している。

