発生生物学:緊急2型骨髄造血を開始する機構
Nature 653, 8113 doi: 10.1038/s41586-026-10256-6
寄生虫感染に対する免疫応答には、好塩基球および好酸球の産生増加が含まれる。これら2種類の骨髄系細胞は、寄生虫に対する2型免疫で重要な役割を担っており、その細胞運命指定はGATAファミリー転写因子に依存している。好塩基球および好酸球産生において系列が最初に決定される段階は、赤血球系にプライミングされた少能性(oligopotent)の多能性前駆細胞(EMPP)から好塩基球–好酸球–マスト細胞前駆細胞(BEMP)が生じることである。しかし、免疫応答が前駆細胞に作用して2型骨髄造血を開始する仕組みは十分に分かっていない。今回我々は、腸管寄生蠕虫Heligmosomoides polygyrusの感染が、赤血球産生を犠牲にして、EMPPの骨髄系への運命決定を促進することを示す。H. polygyrus感染に伴い、アラーミンであるIL-33が骨髄に蓄積し、これがEMPPでGATA補因子LMO4の発現上昇を引き起こし、骨髄系細胞へ優先的に分化させた。LMO4はEMPPにおける骨髄系運命の指示に十分であり、GATA2と相互作用し、補因子FOG1に置き換わって、GATA結合を巨核球–赤血球系特異的クロマチンから、好塩基球–好酸球–マスト細胞(BEM)特異的クロマチンへと再分配した。これと一致して、LMO4–GATA2相互作用を選択的に損なうGATA2変異を持つマウスでは、BEMクロマチンへのGATA因子の割り当て、骨髄系系列への運命指定、好塩基球および好酸球の産生、寄生虫制御に欠陥が見られた。以上の結果は、LMO4がIL-33によって調節される2型骨髄造血のマスター調節因子であり、転写因子の再配置が細胞系列運命拘束の機構であることを明らかにしている。

