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創薬:μオピオイド受容体のスーパーアゴニスト系鎮痛剤
Nature 652, 8112 doi: 10.1038/s41586-026-10299-9
安全で効果の高い鎮痛剤の開発は、ヒトの健康に関して現在も取り組まれている重要課題の1つである。μオピオイド受容体(MOR)のアゴニストは非常に重要な鎮痛剤だが、本来備わる高い活性のために、呼吸抑制、便秘、耐性、依存、離脱症状、嗜癖などの有害作用も引き起こす。有害作用の抑制を図るこれまでの戦略としては、本来的に活性の低いMORアゴニストや、β-アレスチンシグナル伝達よりもGタンパク質シグナル伝達を選択的に活性化するMORアゴニストの開発などが挙げられる。今回我々は、本来的に過去最大の活性と独特な薬理学的プロファイルを持ち、齧歯類で効率良く鎮痛作用を示すが有害作用は最小限という新規なMOR作動薬を見いだした。N-デスエチルフルオロニトラゼン(DFNZ)は、ニタゼン類と呼ばれるクラスの合成ベンズイミダゾールオピオイド類から誘導された。DFNZは脳への透過性が損なわれており、独特な空時間的MOR細胞シグナル伝達プロファイルを持ち、MOR–ガラニン1(GAL1)受容体ヘテロマーに対する効力が低下している。DFNZは、複数回曝露しても呼吸抑制、耐性、MORの発現低下を誘発しなかった。また他のMORアゴニストと比べて、側座核でのドーパミン神経伝達に対する影響が限定的で、薬物自己投与行動の強化効果も弱かった。これらの結果から、MORとニタゼン類の薬理作用に関して新たな考察が得られる。これらの知見は、痛みと嗜癖の治療に重要な意味を持ち、強い活性を持つMORアゴニストは安全で効果的な治療薬にはなり得ないという有力な考え方に一石を投じるものだ。

